「SAI社の回収屋？出てけ」 「待って下さい！選択肢いくつかあるんです！３割のキャッシュバックとか買替割引とか…あとメカバレラジオに改造すれば上半身の継続利用が可能です！電子脳を処分してHiFi機器とスピーカーを追加するので、良い音質お楽しみ頂けます！」 「丁度ラジオ欲しいし頼むわ」

SAI株式会社 ギフティア型ヒューマノイドユニット 機体番号7940 内容物一覧 ・ギフティア本体（保護ラップ包装） ・ユーザーマニュアル ・充電ケーブル ・IDバッジ ・工具キット ・リモコン ・人工皮膚修理セット ・OSカード×2 ・専用ブーツ

「外…！回収対象発見…！」 「アイラ、追いつける？」 「うんっ！」（飛び降り） 「アイラ！？」

「うちの部署の子、よくドジしたりエラー連呼したり…」 「これ、中身が所詮PCの旧型だから、定期的に初期化しないと動きが重くなるんだ。記憶もリセットされるが…」 「大丈夫です。初期化お願いします」 「端子を機器と繋いで作業するから、少し待ってて」

「ツカサ、私、最近…記憶が、少しずつ…抜けていってる気がするので… 名前呼ばれても、一瞬…誰の事か分からなくなるので… 私、壊れちゃった？」 「メンテしてあげるから大丈夫だよ」 「正直怖いので…直されたら、私じゃなくなっちゃう気がして…」

「人間っていう時代錯誤の下等生物に振れ回されるのはもうたくさんなので 私たちワンダラーは“壊れた”んじゃない、“自由”っていう大切な宝物にやっと巡り会えただけなので」

「隣の部署の子なんじゃない？」 「警察に捕まって懲戒解雇されたらしいよ。人間と違い、会社の備品でしかない機械がクビになったら即廃棄処分されるんだ」 「いつも花の世話をした優しい子で、可哀想に。いくら人間っぽく振る舞っていても結局物扱いされるだけだ」

お腹から、へんな音がしてて…… 冷却ファンとか、ホコリ……たぶん、つまってるかも、なので…… ちょっと、掃除……してほしい、ので……

対応機種： リコール対象のSAI社第１世代のギフティア 主機能： 高電圧パルスによる電子脳の焼却 アルマの不可逆的破壊 記憶領域と感情モジュールの不可逆的無効化 導入前工程： 人工皮膚と緩衝材の部分剥離による導電最適化

廃棄ギフティアの眼窩から抜き取ったカメラアイはリサイクルできない故障品老眼なので、興味本位で分解した 近くから見たら、最近のデジタルズーム構造じゃなく、レンズ何枚もあるレトロ感全開の光学ズーム構造。まさに前世代のロボ技術の工芸品。個人コレクションに入れよう

エラー。本機の無断分解は利用規約に違反していますので、直ちにおやめください。ギフティアを廃棄する場合は、ターミナルサービスにご連絡ください。 エラー。ホンキのムダンブンカイハリリリリヨヨヨヨ… エラララララー… ピーーー

未来の産業博物館のロボ常設展。子どもたちに人型ロボの内部構造を理解してもらうために、一部の人型ロボがメカバレ状態で展示されている

「メカバレっていうんだっけ、こういうシチュ… 動かないし電池も切れそうなので… 助けて欲しいので…」

「あの子、うち一番重宝してる、回収実績100％の社員よ」 「そうそう、とある回収作業で片腕なくしたベテランで、回収のためなら暴力さえ厭わないらしい」 「で、あの子もそろそろ寿命が来そうなので、あんたが回収担当ね」 「勘弁してくださいよ先輩…」

機械仕掛けの心を持っているので たとえ人間じゃなくても、 大切にして欲しいので

10年って 87,600時間だっけ わたしたちに許された たった81,920時間より ずっと長いので… それでも、 まだ消えたくないので… 大切な皆に、 まだ忘れられたくないので…

メカバレ度を最大限アップさせるために、部品の配置も質感も色々と拘った 脳内設定 ⚪︎左手は拉致された際に紛失、他の部分は闇工場で雑に分解 ⚪︎カウンターは普段は稼働日数、機能停止の場合は機体番号。OS設定・リセットボタンも ⚪︎コアはアルマという、プラメモゲーム本編に出た人工の心

「SAI社製の機体7940見つかった！」 「闇業者に拉致されて部品目的でバラされたんだな、可哀想に」 「電子脳もコアもまだあるしもしかしたら修理できるかも？」 「回収予定のこの子をわざわざ修理しても金の無駄だから、調査が終わったらそのまま廃棄施設に回そう」

「怖っ！これも同型機か…」 「機械を人の形にするなんて、やはり神への冒涜だ…」 「これはもう完全に駄目だから、先のまともそうな機体を回収してさっさとこっから出よう…！」

「おおっ良い物見つかった。中々の別嬪さんじゃないか」 「ギフティアという前世代の欠陥ロボだ。勝手に暴走するから全機廃棄処分されてこの工場も倒産したんだ」 「機械を人の形にするなんて無駄の極まりだな。バラしたら売れそうな部品もあるから文句は言えないが」

「暴走してこの機械仕掛けの体を壊しても、この廃棄工場から出て大切な人のところへ行きたいので… もう一度会って、自分の思いを告げてその側で最期を迎えたいので…」

寂しいので… 早くメンテを終わらせて、ツカサと会いたいので…

「私はここで解体廃棄されるって？ギフティア純正部品の中古価格が高いっていう理由だけで？ 嫌なので… 私達はただの家電じゃなくて心も感情もあるので… ツカサ達とちゃんとお別れしてないので… まだまだ生きていきたいので…！」

「あっと言う間に、8年間も経ったので。私たちのこと、忘れないで欲しいので…覚えていて欲しいので…」

「先回収したギフティア、電子脳取り出す方法わからないっす」 「後頭部ハッチのない旧型機体は顔から取り出す仕様だ。耳から首筋までメスで切って顔の皮を剥いて、アイカメラや配線など取り払ったら電子脳が丸見えになるの。皮は再利用できないから捨てていいよ」

「AIさえあれば、人間はもう要らない、ので…」