未来の産業博物館のロボ常設展。子どもたちに人型ロボの内部構造を理解してもらうために、一部の人型ロボがメカバレ状態で展示されている

「メカバレっていうんだっけ、こういうシチュ… 動かないし電池も切れそうなので… 助けて欲しいので…」

「あの子、うち一番重宝してる、回収実績100％の社員よ」 「そうそう、とある回収作業で片腕なくしたベテランで、回収のためなら暴力さえ厭わないらしい」 「で、あの子もそろそろ寿命が来そうなので、あんたが回収担当ね」 「勘弁してくださいよ先輩…」

機械仕掛けの心を持っているので たとえ人間じゃなくても、 大切にして欲しいので

10年って 87,600時間だっけ わたしたちに許された たった81,920時間より ずっと長いので… それでも、 まだ消えたくないので… 大切な皆に、 まだ忘れられたくないので…

メカバレ度を最大限アップさせるために、部品の配置も質感も色々と拘った 脳内設定 ⚪︎左手は拉致された際に紛失、他の部分は闇工場で雑に分解 ⚪︎カウンターは普段は稼働日数、機能停止の場合は機体番号。OS設定・リセットボタンも ⚪︎コアはアルマという、プラメモゲーム本編に出た人工の心

「SAI社製の機体7940見つかった！」 「闇業者に拉致されて部品目的でバラされたんだな、可哀想に」 「電子脳もコアもまだあるしもしかしたら修理できるかも？」 「回収予定のこの子をわざわざ修理しても金の無駄だから、調査が終わったらそのまま廃棄施設に回そう」

「怖っ！これも同型機か…」 「機械を人の形にするなんて、やはり神への冒涜だ…」 「これはもう完全に駄目だから、先のまともそうな機体を回収してさっさとこっから出よう…！」

「おおっ良い物見つかった。中々の別嬪さんじゃないか」 「ギフティアという前世代の欠陥ロボだ。勝手に暴走するから全機廃棄処分されてこの工場も倒産したんだ」 「機械を人の形にするなんて無駄の極まりだな。バラしたら売れそうな部品もあるから文句は言えないが」

「タイセツナヒト…アイニキタ…ノデ…」 「惑わされるな、あれはアンタのパートナーじゃなく、ただ処分品の皮を被っている化物だけなんだ！さっさと撃って破壊しろ！」

「暴走してこの機械仕掛けの体を壊しても、この廃棄工場から出て大切な人のところへ行きたいので… もう一度会って、自分の思いを告げてその側で最期を迎えたいので…」

寂しいので… 早くメンテを終わらせて、ツカサと会いたいので…

「私はここで解体廃棄されるって？ギフティア純正部品の中古価格が高いっていう理由だけで？ 嫌なので… 私達はただの家電じゃなくて心も感情もあるので… ツカサ達とちゃんとお別れしてないので… まだまだ生きていきたいので…！」

「あっと言う間に、8年間も経ったので。私たちのこと、忘れないで欲しいので…覚えていて欲しいので…」

「先回収したギフティア、電子脳取り出す方法わからないっす」 「後頭部ハッチのない旧型機体は顔から取り出す仕様だ。耳から首筋までメスで切って顔の皮を剥いて、アイカメラや配線など取り払ったら電子脳が丸見えになるの。皮は再利用できないから捨てていいよ」

「AIさえあれば、人間はもう要らない、ので…」